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マイクの使い方と音質向上のTips

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まだまだ沼の入り口でしかない

 

お話を頂いて、こんな対談記事に出てきました。

srdk.rakuten.jp

 

正直なところ、僕はマイクの沼についてはまだ入り口にしかいないので、このような企画でアドバイスする側に回るのは多少気後れしました(カメラ・レンズならもう少し自信を持って色々言えます)。とは言えせっかくいただいた機会なので、対談に参加してきたのです。とても楽しかったです。

 

さて、対談中にも色々言っているのですが、マイクは使い方が非常に重要です。数千円の安いマイクでも正しく使えばWeb会議では十分な結果が得られますし、超高価な高級マイクでも使い方を間違えたら酷い音になります。ですのでこのエントリでは、「マイクを正しく使って、ウェブ会議や音声配信での音質を向上させるTips」をまとめてみます。

 

1. マイクと口を近づける

何よりも重要です。口(音源)とマイクを近づけることで、マイクに入る音量を上げることができ、その分マイクの感度を下げて、環境ノイズや反響音の影響を減らすことができます。大雑把な目安としては、「マイクと口との間の距離はこぶし一個分」と考えるとよいと思います。

2. マイクと口との間の距離を一定に保つ

話している間に距離が変わると、マイクに入る音量が大きく変動します。マイクやソフトウェアによってはその場合に感度を自動的に変えて対応しようとするものもありますが、その分背景ノイズも増幅されて厳しい音になりがちです。ヘッドセットマイクが優れているのは、マイクと口との距離が常に一定に、適切な距離に保たれる点です。

3. 自分の声を見る

例えばzoomだと、「設定」>「一般」>「ミーティングコントロールを常に表示する」で、画面下にマイクアイコンが常に表示されるようになります。このマイクアイコンがレベルメーターになっていて、自分の声の音量がどれくらいになっているのかを見ることができます。これは常に、絶対見て確認すべきです。声が大きすぎる、小さすぎる、あるいは音が入っていない、などの問題にすぐ気付くことができます。レベルメーターが見えていない状態で声出しをするのは、自分のカメラ映像が見えていない状態でカメラオンにしているようなものです。

4. 自分の声を聞く

USBマイクには、「リアルタイムモニタリング」という機能がついているものがあります。これは、話している自分の声をイヤホンやヘッドホンで聞くことができる機能です。XLRマイクなら、オーディオインターフェースを介してリアルタイムモニタリングができます。これは絶対にやったほうがいいです。自分がちゃんとマイクのスイートスポットに声を入れることができているか、声量は適切か、変なノイズは入っていないか、などの情報を得ることができます。

5. ポップノイズ対策をする

特にパ行やバ行の音を出したときに、口から勢いよく吐き出される空気をマイクが拾って「ボフッ」という音が入るのをポップノイズといいます。聞いている側は結構邪魔な音です。最も簡単なポップノイズ対策は、マイクを自分の口の正面に置くのではなく、唇の端あたりを狙うようなイメージで配置することです。「ポップフィルター」という機材を使うことはもちろん有効ですが、一般的なウェブ会議などでカメラに映った状態だとちょっとぎょうぎょうしくなるかもしれません。マイクの機種によってどれくらいポップノイズを拾うかは大きく違いますので、自分のマイクで色々テストしてみる必要があるでしょう。

6. 環境ノイズ対策をする

自分の声以外の音ができるだけマイクに入らないようにするのは重要です。周囲の人の話し声や空調の音などはわかりやすいかと思いますが、キーボードの打鍵音やマウスのクリック音、机上の振動がマイクに伝わる音などもかなり大きなノイズになることがあります。対策はマイクの指向性を利用してマイクが音を拾わないような場所にノイズ源(キーボードやマウスなど)を置くこと、マイクアームやショックマウントを使うことなどがあります。

7. マイクの指向性を理解し、適切に利用する

記事中の動画内でマイクを回して説明していますが、単一指向性を持つマイクは、特定の方向から入ってくる音しか拾わないようになっています。自分のマイクがどこから音を拾うのかはちゃんと理解しておかないといけません。Blue Yetiというそれなりに高価で人気が高いUSBマイクがありますが、このマイクの指向性を理解せず、変な方向から話しかけてひどい音になっている動画、YouTubeに腐るほどあります。

8. テストする

様々な環境・設定を変えながらテスト録音し、自分の環境において一番いいやり方を見出していくべきです。Zoomだと、ひとりでミーティングを開いてレコーディングし、それを聞いてチェックする、の繰り返しです。ひとは生まれつきマイクを適切に使えるようにはなっていません。トライアル&エラーで上達するしかないのです。

9. 録音後の整音も検討する

オンデマンド授業動画やPodcastなどの、リアルタイム配信ではなくレコーディングするコンテンツでは、録音後に整音することを真剣に検討するべきです。特に重要なのはコンプレッサー他を利用した音圧の調整で、音声の聞きやすさに非常に大きな影響を与えます。これについてはそのうち別にエントリを書くかもしれません。

10. 失敗を恐れない

様々な機材や、様々な使い方を試して失敗することを恐れてはいけません。失敗したらちゃんとその失敗を振り返り、改善していけばいいのです。対談中にも言っていますが、マイクはなんぼあってもいいのです。買ってみたマイクが自分の環境には合わないかもしれない、とか恐れる必要はありません。とにかく色々試して、トライアル&エラーから自分にとってのベストを見つけていくと良いでしょう。

 

「マイクをどのように使うと、どういう結果が得られるのかが分かっている」というのは一つのスキルです。ゲームだとPerkとかカードとかに当たるものです。それがあるかないかで、どんなビルドやデッキを組めるかが大きく変わってきます。明日のミーティングはガビガビ音声でも普通に乗り越えられるかもしれません。しかしこの先十年単位の世界を想像したら、「自分の音声を、ネットの向こう側にいる人に、どうやったらより良い音質で届けられるか」を知っているかどうかはそれなりに大きな違いをもたらすと思います。今のうちに色々やってみるといいのではないでしょうか。