NIKKOR Z 40mm f/2 レビュー:クラシックレンズにZの気配を
はい。
そもそも、これまでのZマウントレンズとは位置付けが違う製品です。小型軽量低価格がウリの単焦点。しかしそれにしても、またずいぶんとクセのある仕上がりになってるな?という印象です。
Z7+Z40mmなんですが、この写真、撮った後に見て、AI Nikkor 50mm f/1.8Sじゃん、と思いました。背景の木漏れ日の玉ボケに輪郭線がつく感じが、古典的な4群6枚ガウスタイプの標準単焦点でよく見るやつなんです。画面上部を切り取りましょう:
実際、Z40mmのレンズ構成は、古典的なガウスタイプの最前面の一枚を抜いて、マウントギリギリにでかい非球面を足したものになっています。
結果、Z40mmの描写は多くの場面で、昔懐かし標準単焦点の描写を彷彿とさせるものになっています。
最短付近。明らかにユルいです。フレアも感じます。
最短付近。いわゆる「線が太い」描写だと思います。
ド逆光開放ではありますが、フレアとパープルフリンジが盛大に出ています。こういう場面では絞れ、という感じ。
アウトフォーカスの草の部分、いわゆる2線ボケ気味です。
石畳のボケ方、ザワザワしてますね。これはこれで表現には使えそうですが。
画面奥のアウトフォーカス部分、なんだかこう、塊感のある、ボソっとしたボケかたです。
というわけで、もう明らかに、「現代のレンズが普通持っている光学性能」は追求してない設計っぽいのですよね。これまでZレンズは、これでもかというくらい現代的なクリーンな写りをするものたちで揃えられてきましたが、ここに来て大クセ玉の登場です。
ただこのレンズ、どうも狭いレンジですごいホームランを打ってくるっぽいんですよね。DC135とか思い出す。でもそれZでやる?令和に?これだからニコンは。そういうとこだぞ、というのは置いといて。一枚目のねこ写真は「ホームラン」だと思います。光のレンダリングもボケの繋がり方もすっごくキレイ。
この立体感もなかなか。
こういう種類の明暗差があるシーンがストライクゾーンなのでは、という気がしている
ねこは多分、これくらいの距離がスイートスポットです。
光量少ないシーンで、ごく微妙な明暗差を繊細に捉えるところがあります。
無限遠も、四隅シャープアピールをしない撮り方をすれば、開放でちゃんと戦えます。
前ボケもいい感じですね。多分サクラとか、群れて咲く花系でホームラン打てると思います。
というわけで、これは「クセが凄い!」系のやつですけども、ちゃんと付き合ってやれば見返りはある気がしています。何より軽さとコンパクトさは素晴らしい。もう少しポジティブな写真が撮れたらまたやります(なんかダメなのよね、いまのところ)。