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本業は大学教員で言語学の研究者。このブログは最近殆ど写真ばかり。「まっすぐ撮る部」「ズームレンズ使えないマン」「全日本絞らない党」あたりでやっている。

オンライン授業のための映像機材ガイド

このエントリは、おもに同業者(大学教員)を読者に想定し、オンライン授業の画質向上のために機材を導入する際のガイドとなることを目指して書かれたものです。

 

0. そもそも必要?

必須ではありません。でもあると絶対いいです。

オンライン授業実践において、まともなマイクは絶対必要ですが、カメラは必要性高くありません。そもそもカメラで写るのは基本的に自分なわけで、そこで画質を上げてどうする?と思う方も多いでしょう。こうです:

画質を上げると、自分がアガります。

胡散臭い言い回しになりましたが、結局そういうことです。例えばZoomを使ってオンライン授業をやっていると、自分の姿がずっと写っていることになります。その「画」がしっかりしたものになっていることは、ある種の自己肯定感に影響を与えます。別に自分自身がよく写っているかということではなくて、自分が入っている「画」がちゃんとしてることが重要なのです。ちゃんとした画の中に自分がいることからは、不思議な安心感が生まれます。その安心感が授業の質や、授業を終えた後の疲労感に与える影響って、絶対に小さくないです。絶対に。

特に在京大学では、後期もオンラインが続く可能性が少なくありません(僕はそれはもう不可避だと思っています)。仕事です。ずっと毎日です。それを少しでも快適にできる可能性があるものには積極的に投資していいと思います。

 

1. 何がいるの?

順を追って説明します。

(1) カメラ
動画モードがあって、映像出力端子がついているカメラが必要です。これはここ数年に発売された機種なら大体大丈夫だと思っていいです。カメラの動画性能、たとえば4k30pだ云々とかは気にしないで構いません。オンライン授業で4K配信とかまずあり得ないですし。以下、カメラに関して大事な要素を並べていきます。

(a) レンズ
(換算)24mm-35mmくらいの単焦点レンズが理想です。50mmだと長すぎて、カメラの設置位置の制限が厳しいかもしれません。ズームレンズだとPCインカムと画質の違いがそこまで分からない可能性があります。わざわざカメラを導入するのですから、「うわ、全然違う」とすぐに分かるくらいが望ましい。そのためには明るい単焦点に拘った方がいいです。

(b) 外部電源
長時間カメラをつけっぱなしにするので、内蔵バッテリーでは到底やっていけません。外部電源必須です。ACアダプターを直接繋げる機種もありますが、多くのカメラはバッテリー室に「DCカプラー」を入れてACアダプターで駆動することになります。機種によっては対応するDCカプラーが発売されていないものもあり(Nikon Z50とか)、注意が必要です。

(c) AF性能
もちろんピントは早く、正確に合った方がいいですよね。これについては古いカメラと最新のものでかなりはっきりと性能が違います。「瞳AF」が搭載されている方がいいですが、そこまで必須というわけではありません。カメラによっては、瞳AF機能があっても動画モードでは機能しなかったりします(Canon EOS Kiss Mとか)。これもちょっと注意。


(2) キャプチャーボード
カメラの映像出力は、そのままだとPCに繋がりません。「キャプチャーボード」という機器を経由する必要があります。キャプチャーボードは種類がたくさんあり、またカメラとの相性問題もあるようなので、機材系YouTuberの動画などを見て、確実に自分のカメラで動作する機種を選ぶとよいと思います。

少し価格が上がりますが、キャプチャーボード機能を持つスイッチャーを導入する、という可能性もあります。これはカメラ以外にも複数の入力ソースを接続し、適宜切り替えたりワイプのように端に表示したり、などができます。大変便利ですので、予算が許すなら是非こちらを選ぶことをお勧めします。機種はBlackmagicのATEM Mini一択かと思います(これ以外は大変高価になります)。

カメラによっては、USBでPCに接続して、そのままウェブカムとして認識させることができます。SIGMA fpが有名です。こういうカメラなら、キャプチャーボードが無くても良いことになります。

その他キヤノンはベータ版ながら自社カメラをウェブカム化するアプリをリリースしていますし、ニコン社外アプリで同様のことをする方法を公開しています。ソニーも対応を検討中だそう。

 

(3) 三脚
サイズはどこにカメラを設置するかによって変わりますが、センターポールで高さを細かく調節できるものが必要です(いわゆる卓上三脚は意外とこの機能が弱い)。今目指している「ちゃんとした画」のためにはカメラが水平に設置されていることが絶対的に重要です。きちんとした三脚できちんと水平をとってカメラを置きましょう。その際、カメラを上下に傾けて自分の顔に合わせることができなくなりますから、高さを変えて調節することが必要なのです。

 

2. 具体例

では、僕が使ってる機材を紹介します。まずはカメラ:

fujifilm-x.com

FUJIFILM デジタルカメラ X100V ブラック X100V-B

FUJIFILM デジタルカメラ X100V ブラック X100V-B

  • 発売日: 2020/03/12
  • メディア: Camera
 

 X100Vはかなりいいです。ホワイトバランスを間違いません(つまり、照明によって色が変になったりしないということです)。レンズの画角もボケ量もちょうどいい。AFはちょっと遅めで、ここは不満です。

キャプチャーボード/スイッチャー:

www.blackmagicdesign.com

 ATEM Miniは神機材です。X100Vのためのキャプチャーボードとして使う以外に、PC・iPadiPhone・他のカメラなどを繋いで、ボタン一つで映像ソースを切り替えて使うことができます。トップの画像は、PC上のPowerPointの画面を、ATEM MiniのPicture in Picture機能を使ってカメラの映像に埋め込んでいるものです。この埋め込み領域の位置や大きさは自由に調整できます。

三脚:

www.gitzo.com

三脚は僕が元々持っていたもので、オンライン授業配信という目的には完全にオーバーキルです。こんなのをわざわざ新しく買う必要はありません。とは言えあまりに安いものだと、調整がひどくやりにくかったりしてストレスが溜まるので、ある程度ちゃんとしたものを。SIRUIのラインナップから自分の用途に適したサイズのものを選ぶのが簡単かと思います。

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上記機材でやってます。



他、「使ったことないけどスペック見る限り多分イケそう」と思う機材をいくつか挙げてみます。 

・ZV-1

www.sony.jp

ソニー Vlog用カメラ VLOGCAM ZV-1

ソニー Vlog用カメラ VLOGCAM ZV-1

  • 発売日: 2020/06/19
  • メディア: Camera
 

動画用途にガッツリ振ってるカメラです。もともとソニーのカメラはAF性能に定評がありますが、ZV-1のAFもかなり良さそうです。マイクもそれなりのものを内蔵しているので、場合によってはこれ一台で色々済むのかもしれません。

 

・X-T30

fujifilm-x.com

 「写真を撮るカメラとしても使いたい」というならばコレあたりがいいかもしれません。Fujifilmは色表現に関して安心感があります。レンズはXF23mm F2を。

FUJIFILM 単焦点広角レンズ XF23mmF2 R WR B ブラック

FUJIFILM 単焦点広角レンズ XF23mmF2 R WR B ブラック

  • 発売日: 2016/10/06
  • メディア: 付属品
 

(7/5/2020: リンク先が間違っていたので修正)

 

・EOS Kiss M

cweb.canon.jp

 「ダブルレンズキット」だと、換算35mmの単焦点レンズ(EF-M22mm F2 STM)と標準ズームがついて現在の実売最安7万円代。コスパは圧倒的ですね。性能については、多分大丈夫だと思うんですが、キヤノンのカメラは使ったことがないので確約はできません。

 

LUMIX GX7MK3(単焦点レンズキット)

panasonic.jp

 PanasonicLUMIXシリーズは動画方面で定評があって、YouTuber方面にも人気が高いです。その中でもこの機種はキットになってるレンズがすごくいいので挙げておきます。


というわけで、予算は少なくとも10万程度は見込む必要がありますね。でもここを変に妥協して、中途半端なウェブカムとか買ったら多分後悔しますよ。目指すのは「あーこりゃ全然違うわー」と一目でわかる、です。その違いで得られる自己満足は、きっと毎日にポジティブな影響を与えます。オンライン授業が終わってもカメラはカメラとして使えるわけですし、無駄な投資にはならないでしょう。

 

ここ一ヶ月の東京の顛末は、パンデミック後の世界がそう簡単に元に戻ってくれないことを示唆しています。どうも腰を据えてステイホームしていかねばいけないっぽい。ここで大事なのは自分の機嫌を取り続けることです。どうも多くの人は「授業」をストイックでミニマルに保とうとしがちですが、いろんな意味でもう少し「遊び」を入れていくことで余裕を持つと、皆を少しずつ幸せになると思います。