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bluelines

女子大教員。大学教育・言語・ねこ・写真とカメラなどについて。

人間の限界を超えて。『マッドマックス 怒りのデス・ロード』

僕です。いろいろと思い通りにならない生活です。今日もまた嫌なことばっかり。カモン突破口、というわけで、観てきましたマッドマックス 怒りのデス・ロード』
 

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wwws.warnerbros.co.jp

 
開始一分で「あ、この映画頭おかしいな」と思ったのですが、それは映画が終わるまでずっと「あ、思ってたよりも頭おかしいな」で更新され続けました。作り手も、登場人物も、誰一人正気の人間がいないんではなかろうか。そういう内容です。
 
カーチェイスアクションの金字塔たるこの作品では、人が車に乗ってる時間が車から降りてる時間より長いわけです。で、登場人物の誰一人として、「車を止める」という概念が無いんですね。車は止まるかもしれないけど、止めるものではない。砂漠を疾走するバカみたいな改造車をアクセルべた踏みで戦闘しながら、「ヤバいエンジンが一個やられた(車は走ってる)」「よし分かった、俺が修理してくる(←車は走ってる)」「ちきしょう追いつかれた、乗り移られるぞ(←車は走ってる)」「アイツをやっつけろ(←車は走ってる)」「よし、もうエンジンは大丈夫だぜ(←車はずっと走り続けてる)」みたいな流れです。まだ『地獄のデス・ロード』を観ていない人は、この描写を読んで自分の理解がおかしいのか僕の説明がおかしいのか悩むかもしれませんが、おかしいのはこの映画そのものです。
 
そんな頭おかしい映画の中で、おそらく映画史に残るであろう頭おかしいキャラクターが、巷で話題の「火炎放射ギター男」ことThe Coma-Doof Warriorです。
 

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このキャラクターを一言でいうと、「母親の顔面の皮で作ったマスクを被り真っ赤なジャンプスーツを着て時速70km以上で砂漠を疾走する軍用八輪トラックにこれでもかとアンプを積み上げピンライトまで立てて作ったステージ上にバンジー紐で吊るされながら火炎放射器付きのツインネックギターを登場時から死ぬまでずっと掻き鳴らし続ける盲目で顔のない男」となります。頭おかしいんじゃないか。キャラ設定のディティールが大渋滞を起こしています。ちなみにこの映画のストーリーは、一言でいうと「行って戻ってくる(ずっと走ってる)」になります。バランスが破綻しています。
 
このインタビューを読みますと、どうもこの頭おかしいキャラクターにまつわる全ては「リアル」らしいんですね。本物の軍用トラックに、本当に音が鳴るアンプを載せて、本当にドラムをどんどこ打ち鳴らして、本当に時速70kmで砂漠を走りながら、本物のギタリストに本当に炎を噴射するギターを本当に演奏させた、と。なんかギタリストはバンジー紐で吊るされながらフルスピード走行中のトラック頂上で目隠しして演奏する練習を一ヶ月ぐらいやらされたらしいです。この監督とスタッフ、野放しにしといて本当に大丈夫ですかね。治安維持法違反とかで逮捕したほうが平和な市民社会のためになるんじゃないだろうか。人道に対する罪とか、なんかあるだろう。
 
要するに人間ってすげえ、ってことです。すげえ想像力を爆発させるとこんなすげえ人間が描ける、という。われわれの心は「正気」に囚われることをやめたときに、とんでもない輝きの爆炎をぶち撒くことがあるんだ、と再確認できる映画です。映画館で観とけ。