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本業は大学教員で言語学の研究者。このブログは最近殆ど写真ばかり。「まっすぐ撮る部」「ズームレンズ使えないマン」「全日本絞らない党」あたりでやっている。

RICOH GR IIIレビュー:GRは結局GRだった

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はい。GR IIIです。防湿庫大入れ替えの結果です。

www.ricoh-imaging.co.jp

 

I. よいところ

(1) 小さい

カメラ界において、「小さい」はどんなに性能がいい大きなカメラにも代替できない価値です。トップの写真はスマホケースなんですが、GR IIIはこれにあつらえたようにぴったり収まります。レンズの出っ張りが小さく、ボディ全体が薄くなっているのがとても大きな利点です。その上でそれなりにちゃんとしたグリップがついているので、ホールドしやすいのも素晴らしい。

 

(2) 画質がいい

まずRAWがすごく扱いやすい(この点でFUJIFILMのRAWは癖が強くてダメでした)。そしてRAWから写真を起こすと、ものすごく印象的な青が出ます。初代GRもそうだったので、そういうカメラなんだと思います。空を撮るとトーンがきれいに繋がります。

 

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レンズは、「どうしちゃったのコレ」と言いたくなるほど開放からシャープです。シャープ過ぎてちょっと硬く、被写体によっては違和感が出る(ねこの毛とか)。

 

 

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ダイナミックレンジは十分に広く感じます。明暗差が大きい場面も苦になりません。特にシャドウが潰れない。

 

 

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手振れ補正はきっちり効いています。元々広角なレンズなので、日中スローシャッターで動くものだけをブラすことが容易にできます。わりとすぐに飽きますが。

 

 

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かなり寄れるレンズでもあります、ピントが合いさえすれば(後述)。

 

 

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(3) レスポンス・操作性

電源オンからの起動がとにかく早くて気持ちがいい。タッチパネル液晶も快適で、メニューや撮影画像送りもヌルヌルです。操作系・メニューの構成は概して良く練られていて、説明書を読まないでもカメラに慣れてる人ならすぐ使いこなせるでしょう。

 

 

II. ダメなところ

(1) AF

これはもうはっきりと「ポンコツ」と言っていいレベルだと思います。2019年のカメラだとは思えない。Panasonicが2015年に売ってたエントリー機に議論の余地なく完敗しています。ちょっとでも暗くて、ちょっとでもコントラストが弱い部分にピントを合わせようとすると、まあウソみたいに遅いわ迷うわ最終的に諦めるわ。「ああ、昔々のコントラストAFってこんなだったなあ......」と図らずもノスタルジーに浸れます。

マクロモード時はさらにおかしい。ピーカン屋外だろうが何だろうが、被写体によっては全くAFが合いません。どうも白っぽいものが苦手っぽいんですが、マクロで撮りたい花とかは白っぽいものが多いので、もう諦めてMFにするしかない。とは言えMFもやたらやりにくいカメラなので、現実的には「撮るのを諦める」でいいと思います。

 

(2) バッテリー

異常な速さで減っていきます。公称の撮影可能枚数は200枚ですが、僕が満タンから撮り歩いて164枚でバッテリー切れでした。200枚撮るためには、メニュー開かない・撮った写真を確認しない・構図を探して迷わない、などなどの工夫をし、電源入れたらすぐ撮ってすぐ電源切る、という運用が必要かと思われます。ていうかニコンのカメラの「公称XXX枚ってことになってますけど、普通に使うとその2~3倍は余裕で撮れますよ」に慣れてたので新鮮でした。200すら行かないんかい!と。

※追記:WiFiBluetoothはオフ、アウトドアモニター0で撮り始めて途中から+1にしてこれでした。 

 

(3) 発熱

電源オンから数分で、グリップ部分のかなり広い範囲がそれなりに熱を持ちます。今の季節はまだいいんですが、これ夏とか大丈夫ですかね。オーバーヒートも心配だし、手汗で無駄に不快になるのも嫌です。こういう部分って、結構カメラに対する愛着をスポイルしかねないところです。

 

(4) 細かい部分の作りが甘い

「十字ボタンが斜めになってる」はもうすでにいろんなところで話題ですね。僕の個体も軽く斜めってます。ボタンやダイヤル類は基本的に安っぽいです。実用問題なければいいだろ派もいますが、価格帯的に文句を言われてしかるべきクラスのカメラだと思います。

 

III. 総評:GRはやっぱりGR

僕は初代GRを使ってましたが、手放した最大の理由はAFです。AFが弱いことにより、撮れる場面・撮れる写真が非常に限定されます。例えば夜に室内でねこの写真を撮るなんてもう苦行に近かった。また、近接でピント位置をコントロールし、ボケを活かした表現をするなども非常に苦手でした。

あれからもう随分と時が経ちました。満を持して登場、像面位相差AFを積み、メーカーが「コントラストAF特有のピントの山を探る動作が減」と謳うGR III。期待してたんですけどね、やっぱりこれは日中屋外パンフォーカススナップ専用機と考えなければいけないカメラです。例えば、屋内(自宅やレストランなど)で人やペット、料理などを撮りたい人にはまるで向いていません。初代GRもそうでしたが、未だにまるで向いていません。そういう写真を撮るためにはもっと安くてもっといいカメラ、そこらの中古屋に死ぬほど転がってます。

しかしまた一方で、長所の強烈さも他のカメラには全くないレベルです。このコンパクトさでこの画質でこのレスポンス。これだからこそ撮れる写真、これじゃないと撮れない写真もかならずあるでしょう。これは、「自分が撮りたい写真」を撮るためのカメラではありません。ユーザーが、GRの特質に自分をアジャストしていく必要がある。その覚悟がある人にのみお勧めします。