5月の記録2023
GW終わりのタイミングで、この一ヶ月ほどの棚卸し的に記録をつけておきます。
『クリスチャン・ディオール』、夢のクチュリエ』@東京都現代美術館
ファッションは全然知らないんですが、あまりに展覧会の評判が高いので行ってきました。チケットは予約サイトをブックマークして朝昼晩チェックしてたらキャンセルが出て買えた。
噂に違わず圧倒的に素晴らしい展示空間でした。メインの展示物は「服」で、どう転んでもサイズ感は同じなので、ただそれだけを並べたら簡単にマンネリ感が出るんでしょうが、テーマごとに空間を区切り、さまざまに見せ方を変え、天井の高低の変化や吹き抜けを最大限に活用し、キャプションパネルに当てるピンスポまで完璧に構築しつくして、まったく飽きさせないものになっています。来てよかったと心底思いました。
ただ、この夢のような空間を出た後、3Fの志賀理江子に現実に引きずり戻された（それこそ、首根っこを掴まれて）ときが最も印象深い瞬間でした。ディオールの世界は貴族的洗練の極みで、過剰な財力を惜しげもなく注ぎ込んで「美」を突き詰めています。そういった洗練において消し去られてしまう生のカオスを、志賀の作品は容赦なく心にねじ込んでくる。『さばかれえぬ私へ』と同時に観ることで、ディオールもこの世界の一部であることを理解するために重要な補助線が引かれると思いました。このあまりに両極端ながら相互補完的な展示を同時にやる、しかも『さばかれえぬ私へ』は無料で、というところに東京都現代美術館の実力を見た気がします。
ディオール展は5/28まで、『さばかれえぬ私へ』は6/18まで。どっちも老若男女みんな見に行くといいと思います。
『ウェス・アンダーソンすぎる風景展』＠天王寺寺田倉庫G1ビル
ぶっちゃけ期待外れ。やっぱりInstagramの投稿画像を展覧会サイズに引き伸ばしてプリントするのって無茶で、どうにも写真がチープ。大きさが制限されるので空間がスカスカ。会場と展示するブツの質量がどうにも釣り合ってなかったです（オシャレ本屋とかカフェとかの一部壁面を使って展示、とかならよかったかもしれない）。
まあ、展覧会としてではなく、「インスタ発のイベント」として捉えればそれなりに満足できるのかもしれませんが、チケット2000円はないよなー。2000円ってディオール展みたいな、ガチの美術館が威信をかけてやる大規模展の価格帯で、それらに比肩できるクオリティではないと思いました。
『ワールド・クラスルーム：現代アートの国語・算数・理科・社会』＠森美術館
オムニバス的というのか、各種さまざまなテーマの作品をものすごい数集めた記念展。すごいボリュームですが、見せ方がうまいので疲弊せず楽しめます。特に印象に残った作品はとある組み写真（ネタバレは避けます）でした。これは写真を見た後にタイトルを知ると衝撃を受けるんですが、展示の動線的にタイトルキャプションと解説が写真本体の後に目に入るように配置されていて、その辺りも流石だなあと思いました。
GRIS
Steamでセールになってて、なんだかレビューがものすごい高評価なので、一切情報を入れずに買ってやってみたゲーム。そしたらとんでもない大傑作じゃないですかこれ。しかも発売は2018年、おれは5年もこのゲームを知らずに生きてきたのか！と叫びたくなるような。ビジュアルの完成度、サウンドの心地よさ、そしてプレイヤーにストレスを与える要素は無いのにちゃんと試行錯誤と達成感があるゲームデザイン。5時間くらいで終わるので、連休にやるのに本当にぴったりなゲームでした。
スタジアム
最近ちょくちょく野球場に行ってます。5/6もZOZOマリンに行ってきました。マリーンズはものの見事な逆転負けを喰らいましたが、試合終了後のグラウンドウォークがとても気持ちよかったのでまあ良し。なんか去年も同じようなこと書いた気がするな？
野球場には他にはない独特のエモさがあるような気がしてたんですが、考えてみたらW.P. キンセラが野球場エモ小説を山ほど書いてたりするわけで、やっぱこれは万国共通でなんかあるんだと思います。"The Thrill of the Grass"は大学一年の時の英語の授業で読んで、理解しきれないけど記憶に染み付いて離れない印象が残っていた作品です。こないだ再読したらあらためて良かった。
明日からコロナにかかると治療費がかかるようになるんですね。全く困ったもんです。色々工夫して人生楽しんでいけるようにします。
