【2018ワーストレンズ受賞記念】NIKKOR Z 50mm f/1.8 S レビュー&作例
さて、デジカメinfoにこんな記事が出ました:
DPReviewTVの選んだ2018年のベストとワーストのカメラ・レンズ - デジカメinfo
で、
2018年のワーストレンズ
1. ソニー 18-135mm F3.5-5.6
2. ニコンZレンズシリーズ、特に50mm F1.8。ボケが汚い
となっています。さすがに驚きました。僕からするとZ50は、人生ベストに入るかもしれないレンズ、という感覚なので。ともあれ確認のため、ネタ元になってる動画を見てみます。
正直、あまりちゃんと作ってあるとは言えない動画で、コメント欄でも酷評されています。問題のZ50mmについては、「すっごいシャープなレンズ、でもボケが汚い(ugly)。シャープネスは客観的に計測できるけど、ボケは主観でしか判断できない。僕の主観ではこのボケはゴミ(crap)だ」としか言われていません。その場面で一瞬写るのはレモン型の玉ボケで、どうもこの玉ボケ変形が気に食わないようです。
では実際に、Z50mmの玉ボケ、簡単にですが見てみましょう。
イルミネーション付きのツリー。この状態でわざとピントを外して玉ボケをつくってみます。絞り開放、F1.8。
確かに画面端でボケはラグビーボール型に変形してるんですが、大口径レンズって大体こんなもんだよな、としか思えません。玉ボケ内部も、拡大してよくよく目を凝らすと年輪/玉ねぎ模様がうっすら見えなくもないものが一部だけあるんですが、やはり大騒ぎするようなものではないです。これでワーストレンズ扱いされる筋合いはないでしょう。
とはいえ。Z50mmは、ボケが魅力のレンズというわけではないです。同じNIKKORだと、5814Gとか、DC135とか、ああいうタイプのレンズとは完全に違うキャラです。ではZ50の強みとは何かというと(これはZ35でも同じなんですが)、「中~長距離が開放から異常に解像する」だと思います。
具体例。こないだのねこ旅からのカットで、F1.8開放。
ピントが当たっているねこだけ切り出します。
ひげの一本一本がしっかり見えます。
さっきよりさらに距離がありますが、やはりF1.8開放です。切り出しましょう。
これです。もうちょっと恐ろしいレベルです。
そして面白いのは、Z50は(Z35も)、「近接はさほどカリカリシャープでもない」ということです。トップ画像のごまちゃんから切り出すと、毛がしっかり解像されていながら柔らかさを残した描写であることがわかります。これがマクロレンズとかだと、毛の一本一本が刺さりそうに硬く写りがちなんです。
「近づくと柔らか、離れるとシャープ」は、ニコンが5814Gからやっていることですが、Z50はそれをシャープ側に振ったような味付けになっています。結果、ミラーレスのピント精度と相まって、「離れて撮る」が可能になり、構図の選択肢が増えます。次の写真も前回のねこ旅からですが、こういう距離って今までは絞ってパンフォーカスにするしかありませんでした。
ではねこばかりでもあれなので、他の作例を。見せてもらおうか、ニコンのワーストレンズの性能とやらを
ちなみに全部F1.8の開放です。このレンズに関しては、壊れて絞りが動かなくなっても僕しばらく気付かないと思います。
Z50mmのレビューは、こちらも参考にどうぞ。僕はほぼ全てに同意です。