玉ボケ写真の撮り方
こういうやつですね。ぼんやりと丸い光が浮かんでいるような写真。学生に「どうやって撮るの?」と聞かれたので、ここで解説します。
玉ボケが発生するのは、「点光源が被写界深度から(大きく)外れたとき」です。
点光源とは、その名の通り、点状の光源です。最もわかりやすいのは「イルミネーションの電球」でしょうか。自ら光を発するものでなくても点光源になり得ます。例えば、葉についた水滴が光を反射した時は、それは点光源となります。
被写界深度とは、「ピントが合ったように写る奥行き」です。被写界深度から外れるとは、要するにピントが合わない状態になっている、ということです。被写界深度のメカニズムについては、こちらに書いた記事を参照して下さい。
では、具体的にどうやったら玉ボケ写真を撮れるのか。大雑把にまとめると、「近くの被写体を、遠くの点光源をバックに撮る」ということになります。模式図で表すとこんな感じです。
例えば冒頭の写真では、10m以上先に点光源(イルミネーションの電球)があるところで、70cm程度の距離にあるモミジにピントを合わせて撮っています。この際、カメラのモードは「絞り優先」にして、F値はできる限り小さくします。(ただし大口径単焦点レンズの場合、絞り開放にすると点光源の形がラグビーボール状に歪むものもあるので、その場合は少し絞るといいでしょう。)
つまり、玉ボケ写真を撮るためには、「近くに被写体、遠くに点光源」というギャップをどうやって見つけるか、というところが問題なのです。いくつか例を挙げましょう。
窓枠にピントを合わせることで、窓の外のイルミネーションが丸くなります。
ガードレール上にカメラを置いて、ピントをガードレールの手前部分に合わせています。これによって遠景の街明かりが丸くなっています。
蜘蛛は玉ボケ写真を撮りやすい被写体です。蜘蛛の奥の木洩れ日が点光源となるのです。
もちろん、普通に木洩れ日を撮っても、「洩れ」部分が十分に遠くにあれば玉ボケになります。
僕はあまりやらないのですけど、フィギュアなどを手前に置いて被写体とすることで玉ボケ写真を撮ることもできます。次の写真はFlickrより引用です:
Danbo enjoying the view from Tokyo Tower | Flickr - Photo Sharing!
人を撮って背景に玉ボケをつくるのも同じ理屈です。この際、被写体である人に、「背景の点光源からなるべく離れてもらうこと」が重要です。イルミネーションのすぐ手前に立っていては、よっぽど寄って撮らないと玉ボケにはなりにくいのです。
玉ボケ写真は、被写界深度をより浅くできるレンズ、つまり開放F値がより小さい/焦点距離がより長いレンズを使うことで撮りやすくなります。また、玉ボケはレンズの個性が大きく出る部分です。一般的には、「丸く、輪郭がなく、内部に模様が浮かんでいない」玉ボケがよいものとされています。しかしレンズによっては、ボケが角ばったり、くっきり輪郭線が出たり、内部に年輪状の模様が出たりします。新しいレンズを買うとき、選ぶ基準の一つになるかもしれません。
いずれにせよ鉄則は、「近くの被写体、遠くの点光源」。あとは色々試すことで、「点光源」にしやすいものが見えてくるようになります。写真における奥行きを意識する訓練としてもとてもよいのではないでしょうか。
では今回はこのへんで。