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写真をメインに、いろいろログ。

2022年の対面授業

大学はほぼ全面的に対面授業に戻りました。しかしだからといって、コロナ禍二年間で蓄積した様々なノウハウを完全に無かったことにする気はありません。この二年間、「これはいい、残さなければならない」と思ったものが二つあります。

 

(1) iPad+GoodNotesでの資料提示

元々は、オンライン授業で「板書」はどうするか、を考えて始めたものです。iPadの手書きメモアプリであるGoodNotes5に、Apple Pencilで書き込みをしている画面を共有すれば「板書」になるのではないかと。しかしやってみると、GoodNotesはPDFやPPTファイルも開くことができて、そしてその上に手書きで書き込んでいくことも容易にできることがわかりました。

こうなるとすごく便利です。これまで教室での対面授業では、板書とプロジェクターでの資料提示の使い分けに苦労していました。どちらにもそれぞれメリットがあるけど、スクリーンが黒板に被ってたりすると両方同時に使えない。GoodNotesでの資料+板書提示はこの問題を解決して、スクリーン上にすべてが集約されます。「論文PDFを、重要な部分にアンダーラインを引きながら解説→ノートに切り替えてポイントを図示→PPTファイルに貼り付けておいた画像や動画資料を見せる......」みたいなことがごく簡単に、シームレスにできます。特に論文を精読するゼミでは、このやり方は絶対手放せなくなりました。

 

(2) 授業録画の提供

 オンライン授業の経験を通して、複雑で専門的な内容を扱う授業で、内容理解を確認する課題を頻繁に出すようなスタイルにすると、授業の録画があることは学生の理解度を大きく向上させることがわかりました。要するに、「録画を見直して自分の理解を再確認する」という行動を促すと理解度が飛躍的に向上する、ということです。当たり前といえば当たり前ですが。

というわけで、三年・四年生対象の専門的な授業では、対面で授業しても録画を出そうと思いました。この場合の録画は、あくまで後から見直して復習するためのものなので、上述のiPad上の映像が写っていれば十分です。ただ、文字が読みやすい画質・長時間聞いていられる音質は確保しようと思いました。

 

というわけでこの機材構成です。

iPadの映像は、HDMIキャプチャーボードを介して、PCと教室のプロジェクターに送られます。キャプチャーボードはClassic ProのCHD312を使っていますが、要するにHDMIパススルー(入力されたHDMI信号を、USB出力だけではなくHDMIにも出力する機能)がついてるものなら何でもいいです。CHD312はコンパクトだし今のところ安定動作してるのでよいと思います。

キャプチャーボード経由でPCに送られた映像は、OBS Studioで録画しています。これもまた、Quicktime Playerなどの別のアプリでも問題はないと思います。OBSは色々設定の自由があるので僕はこれを使っています。録画は1080pの30fps、音声はMacbook Airの内蔵マイクで撮っています。ただしこの音声は動画で使うものではなく、動画編集時に同期するためだけに入れています。

音声は、ZOOMのF2で録ります。ラベリアマイク付きのフィールドレコーダーなので、僕の声しか撮れませんが、授業スタイルと動画の目的からそれだけで問題ありません。F2は32bitフロート録音により、ゲイン調整不要で後から如何ようにでも整音できる音声ファイルが録れます。

さて、このシステムで授業を行うと、OBSで録画したMP4ファイルと、F2で録音したWAVファイルができます。授業後に、まずWAVファイルを整音します。作業は大体以前にYouTube Liveでデモしたものと同じ流れで、数分で完了します。

youtu.be

その後、動画編集ソフト(DaVinci Resolve)を使って、MP4ファイルを開き、追加した音声トラックにWAVファイルの音声を載せます。波形を見ながら同期させたら、MP4の音声トラックはミュートします。あとは冒頭と最後をちょっとだけトリミングして整え、レンダーしておしまい。細かな編集はしません。できたファイルをYouTubeに限定公開で上げて、リンクをGoogle Classroomで共有します。動画をYouTubeで再生した時のスクショを貼っておきます。論文PDFを拡大して説明しているところです。1080pだと文字が読みやすい。

というわけで、まだ二週間ですが、今のところかかる手間は許容範囲内という感じです。ハイブリッド授業と違って、授業中に教室と配信の両方に気を配らないでいいのは楽ですね。あとは学生が動画を見てくれるといいのですが。