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本業は大学教員で言語学の研究者。このブログは最近殆ど写真ばかり。「まっすぐ撮る部」「ズームレンズ使えないマン」「全日本絞らない党」あたりでやっている。

大学でのオンライン/リモート授業で利用できるサービス

このエントリの目的:新型コロナウイルス感染症の拡大を受けて、四月からの授業をオンラインで実施することが様々な大学で検討されていることを背景に、「何を使ったらどんなことができるか」に関する大まかなイメージを伝える。個々のサービスの詳しい使い方解説は射程外。

取り上げるサービス:(1) Slack (2) Google Classroom (3) Zoom。

 

Slack

slack.com

Q: 何?
A: コミュニケーションプラットフォーム。文字を中心に用いて情報をやりとりする。

 

Q: 何ができる?
A: 様々な形でのクラス内コミュニケーション。以下、僕のゼミでの活用例。
(1) 連絡・アナウンスメント
(2) 資料配布(ファイルを直接流すこともできるし、URLを貼ることもできる)
(3) 自己紹介
(4) 出欠の連絡
(5) イベントの日程調整
(6) 雑談
(7) グループワークの打ち合わせ
(8) 教員との個人的な相談
(9) 課題の提出と返却

 

Q: 何がいい?
A: メーリングリストやLINEなどと比べて優れているのは以下の二点。

(1) コミュニケーションの場を仕分けしやすい。Slackは「ワークスペース」という単位で動いていて、各ワークスペースの中に「チャンネル」を作り任意のメンバーだけでの会話ができる。また、重要な連絡をするチャンネルと雑談用のチャンネルを分けておく、なども可能。「ダイレクトメッセージ」を使えば個人間で会話ができる。

(2) 簡便なリアクションができる。Slackは、各発言にそれぞれ絵文字でリアクションをつけることができる。LINEの「既読」よりは能動的だけど、テキストで返信を返すよりはずっと簡便で軽い反応の仕方。「何にも反応がない」のと、「慇懃無礼な返信がある(それを要求される)」の間があるのはとてもいい。

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Slackでの会話例。学生が質問、僕が答えている。学生は僕の回答に絵文字でリアクション。


Q: 何がキツい?
A: メッセージが流れない状態が続くとアプリが開かれなくなってしまうので、教員は定期的に何らかのメッセージを発していくことが必要。学生が積極的にSlackで発言するようになるのは望ましいことだが、それによって教員が「昼も夜もない」状態になることも。

 

Useful links

文系のゼミでSlackを導入した話 « SOUL for SALE

研究室(ゼミ)にSlackを導入してよかったことをまとめてみる | Unzailab

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Google Classroom

edu.google.com

Q: 何?
A: Learning Management System (LMS)。学校での学習支援ツール、いろいろある中の一つ。大学がG Suite for Educationに契約していれば使える。

 

Q: 何ができる?
A: 連絡・アナウンスメントや資料配布もできるが、特に重要なのは課題と成績の管理。無味乾燥なUIなので、クラス内でのコミュニケーションは促進されない。

 

Q: 何がいい?
A: 学生が提出した課題に対して、教員がフィードバックを返す作業が効率化される。課題は、Googleフォームを使った自動採点式のクイズにしたり、Googleドキュメントを添付する形で作文・レポートを課すこともできる。また、授業のレスポンスシートを課題という形で集めることもできる。いずれの場合も、提出された課題にPC上でコメントを書き込んで「返却する」ボタンを押すだけでいい。これにより、「フィードバックに基づき何度も再提出して改善していく」という課題がやりやすくなり、教育効果も高い。

 

Q: 何がキツい?
A: UIが色々未完成で、今一つ直感的に扱えないところが多い。頻繁に細かなアップデートがかかっているが、それによってある日「今までこのやり方でできていたことが、突然できなくなる」ことが起こる。大人数の授業で使うと、トラブル(「課題を提出したのに未提出扱いになっている!」とか)が発生する件数も増え、管理にかなりのストレス。

 

Useful links

Google Classroom | 手を抜いているんじゃない、楽がしたいんだ

www.youtube.com

 

 

Zoom

zoom.us

Q: 何?
A: ビデオ会議ツール。映像+音声でのコミュニケーションができる。

 

Q: 何ができる?
A: 多人数での同時双方向的ビデオチャット。「画面の共有」機能を使えば、PC上の資料(パワポのプレゼンテーション、Webブラウザなど)が画面に映った状態で会話することもできる。その様子を録画しておき、録画された動画を公開することも可能。

 

Q: 何がいい?
A: UIは分かりやすく使いやすい。画面共有機能を使えば映像入力をかなり柔軟に選ぶ・切り替えることができるので、工夫すればYouTube配信的なことや放送大学的なこともやれる。

 

Q: 何がキツい?
A: 色々未知数。学生のハードウェアや通信環境が人によってバラバラなので、同時双方向的な授業がどの程度可能なのかについて見通しが立ちにくい。とくに、学生が契約している通信容量を使い果たす「ギガが足りない」問題が厄介。受講者の人数が増えれば増えるほどトラブルの件数も増え、その対応にかかる手間も増大するので、大人数授業を全時間リアルタイム配信型にするのはかなりリスキー。

 

Useful links

Zoom | utelecon.github.io

~N中等部 オンライン授業報告レポート~【授業スライド公開】新型コロナウイルス感染拡大を受け、Zoomを使ったオンライン授業を実施しました。 | N中等部

高画質/高音質な Zoom 配信を行うために用意した機材など|Hiroaki WAKATSUKI|note

 

 

もろもろ

Q: 結局どれを使えばいいの?
A: 必要に応じて組み合わせて。Zoomを使う場合、配信用のアドレスを受講生に告知できる仕組みが必要なので、結局SlackかClassroomも使うことになる。状況に応じて柔軟に。

 

Q: こんなにたくさん新しいものの使い方を覚えなきゃいけないの?
A: 一度ツールの使い方を理解すれば、それによって授業運営は効率化し、楽になる。どこに労力をかけるかの問題。

 

Q: ちゃんとできる自信がない
A: 完璧にできなくていい。むしろいろんなトラブルが起こることを見据えて冗長性を十分にとった計画を建てるべき。以下のエントリは指針として有用。

Please do a bad job of putting your courses online – Rebecca Barrett-Fox